診療内容
TREATMENT
頭痛外来
「頭痛をなめてはいけません」
「頭痛はれっきとした病気です」
頭痛は、風邪や寝不足などに伴う事も稀ではなく、よくある症状(ほとんどの人が頭痛の経験を持ちます)の一つなので 軽く考えたり適当に痛み止めで対処したりしがちな病気です。 しかし、頭痛は脳腫瘍や脳卒中の症状そのものであったり、前触れ(危険信号)の場合もあります。
頭痛を心配される場合は、まず脳の専門家に相談し、できれば脳や頭蓋の断層撮影(MRIがベスト)を受けた方が良いでしょう。
あなたの頭痛が、もし生命に関わるような病気の症状(これを悪玉頭痛とも言います)であるならば、いち早く適切な治療を受ける必要があります。 脳の専門家の診察とMRIなどの精密検査で「悪玉頭痛」ではないとわかったならば、少し安心です。
「生命に危険のない頭痛」(これを善玉頭痛とも言います)はいわゆる「慢性頭痛」がほとんどです。 しかし、「緊張型頭痛」「片(偏)頭痛」「群発頭痛」「薬物誘発頭痛」など何種類もあるため、専門家の診察を受けずにただ痛み止め (鎮痛剤)を飲んでいるだけでは治らない事があります。
頭痛にお悩みの方、頭痛があって脳卒中が心配と思われる方、是非一度当院を受診し、脳の専門家にご相談ください。
片頭痛について
片頭痛は、ズキンズキンと脈打つような拍動性の痛みが特徴です。
病歴、痛む場所、痛みの特徴、随伴症状、環境因子などを聞けばほとんど確実に診断が付きますが、誤解されている場合もあるので、一度は頭痛診療経験の豊富な医師に診察を受けた方が良いと思います。
製薬会社の調査によると、片頭痛患者さんの7割以上が「市販の鎮痛薬」で頭痛をやり過ごし、一度も病院・医院の受診経験がないとのこと。鎮痛剤がよく効いて頭痛による日常生活への影響が少ない場合はそれでも問題はありませんが、片頭痛の多くは「痛みで学校を休む」「痛みで仕事を早退する」「痛みで寝込む」「痛みと吐き気で起きていられない」など、仕事、学業、日常生活に支障が出ることが多いようです。
頭痛経験のない人には「たかが頭痛で仕事を休むなんて」と非難されたり、「頭痛で寝込むなんて」と信じてもらえなかったり、仮病と疑われたりすることもあるようです。頭痛を我慢しながら仕事をすることで能率が下がったり、仕事量の減少が見られるため、「片頭痛による労働生産性低下」が社会問題となっています。そのため、確実に診断し、適切に治療して、「生産性の低下」「能率の低下」を来さないようにすることは、大切なことです。
片頭痛の治療
片頭痛に対する治療は、内服薬と注射薬があります。
内服薬は、解熱鎮痛剤の他に「トリプタン製剤」という片頭痛の特効薬があります。特効薬と言ってもそれを飲めばすぐに治るとは限らず、苦しんでいる患者さんは多いようです。そのため「予防薬」と言って、片頭痛発作を起こしにくくする薬が何種類かあります。その方の症状や頭痛頻度・程度によって、数種類の予防薬から患者さんに合う薬を選択して服薬して頂きます。
それでも、なかなか片頭痛頻度が減らない、内服薬の鎮痛剤が効かない、トリプタン製剤が無効のことがある、という難治性の患者さんには、R3年6月に1種類、8月から2種類の「CGRP関連薬」という皮下注射のお薬が日本国内でも使えるようになりました。
当院でもこれを使っていますが劇的な効果があります。中には「あんなに頭痛で苦しんでいたのが嘘のようだ」「もっと早く使いたかった」という感想を述べる方もいます。月に最低でも4、5回はトリプタン製剤や鎮痛剤を使って、それでも半分は寝込んだり仕事を早退していた人が、全く頭痛が起こらなくなって、数ヶ月で1、2回の鎮痛剤の服用で十分なまでに改善した方もいます。治療薬の満足度などの感想をお聞きして、医師として嬉しく治療のやりがいを感じます。
現在は「エムガルティ」「アジョビ」「アイモビーグ」という3種類のCGRP関連薬があります。問題点は少し高いことです。保険本人3割負担の場合、注射薬が12000~13000円程度かかります。「エムガルティ」だけは有効血中濃度を早く上げて早く効果を得るために、「初回は2本」と決まっているため初回だけ27000円ほど治療費がかかります。高いけれどとても有効なので、R3年6月の治療開始から3年以上にわたって注射治療を受けている方も何名かおられます。月に1回の注射が原則なのですが、効果が持続していて、患者さんの都合で予定より遅く来院される場合、6〜8週間注射間隔が空いてしまっても、効果は得られているようです。
鎮痛剤乱用頭痛
鎮痛薬だけに頼って治療していると、陥りやすいのが「薬物乱用頭痛」(または鎮痛剤内服過多による頭痛)です。毎日1〜3回の鎮痛剤を服用し、それでも効果は不十分で、仕事を休んだりして生産性が低下している人がいます。鎮痛剤服用以外に難治性で慢性化した片頭痛を治める方法を知らずに、薬局で痛み止めを大量に買ったり、頭痛治療の経験の乏しい医師から痛み止めをひと月に90錠処方されるなどの誤った治療を続けている患者さんもいます。
当院では、鎮痛剤飲み過ぎにより慢性化して難治となった頭痛を、漢方薬の「呉茱萸湯(ゴシュユトウ)」で改善し、鎮痛剤の服用過多の状態から離脱するよう治療誘導しています。また、上記CGRP関連薬注射治療を行なって、難治性頭痛や鎮痛剤乱用の呪縛から解放することが実現できています。
天候、特に低気圧に関連して頭痛が起きやすい方、生理周期に合致して、片頭痛に悩まされる方には、「五苓散(ゴレイサン)」という漢方薬が合う場合があり、頭痛の特徴や環境因子も考慮した治療を行なっています。
もの忘れ外来
「もの忘れは病気とは限らない」
「認知症は治らない病気ではありません」
段々ぼけてしまう病気のことを認知症(以前は痴呆症と呼びました)と呼びます。「もの忘れ」が主たる症状ではありますが、「もの忘れ」=認知症ではありません!
日常生活のちょっとした場面で、たとえば財布を置いた場所を忘れたとか、さっき会った人の名前が出て来ないなどということはよくある事です。 これを直ぐに「病気」と決めつける必要はありません。ただし、そのような症状が続くとか頻度や程度が増加する場合は「認知症」を疑って脳の専門家に相談した方がいいでしょう。
有名な「アルツハイマー」(正しくはアルツハイマー型認知症)やその他の原因による認知症の診断には、専門家による問診が大切です。 更に、どういう種類の認知症であるのかを正しく判断し適切な治療を行うためには、脳の精密な断層検査が必須です。 CT検査も断層撮影ですが、記憶に関する部分の萎縮(縮む事)やある部分の血流を観るためにはMRIでなければ正確な情報は得られません。 更にSPECTやPETという脳細胞の働きまで観る精密検査が必要になることもありますが、大抵はMRIで診断できます。
「アルツハイマー」以外の原因で最も多いと思われる「脳血管障害型認知症」、すなわち脳卒中という程重症ではないものの、 脳の血管の動脈硬化が原因で脳細胞が部分的に栄養障害になって認知症を呈するものや、水頭症、脳腫瘍などが原因の認知症もMRIで直ぐにわかります。
当院では、頭痛やもの忘れが脳の病気から来ているのではないかという不安をお持ちの患者さんに、 可能な限り「その日のうちに結果が分かる」様にMRI検査が出来る様に対応致します。
最近もの忘れが心配、アルツハイマーになったのではないかと不安だという方はどうぞ当クリニックにご相談ください。
不眠・めまい他
不眠症、めまい、その他の症状
現代社会では、我々はさまざまなストレスに晒されて日々を過ごしています。会社などでは、仕事そのもの、上司、同僚、仕事相手などもストレス要因になります。家庭では、家族や隣人などとの人間関係もストレスとなります。それらに対して、上手に対応したり、かわしたりしながら、ストレスを克服、ないしは受け入れて日々の生活を送っているわけです。
しかしながら、年齢、環境、個人差などによって、一概に誰もがストレスに対応できるわけではなく、日々ストレスによる心身への負担が増大する可能性があります。すると、睡眠障害(寝つきが悪い、一旦寝ても夜中に何度も目が覚める、ぐっすり寝た感じが得られないなど)や精神障害(抑うつ状態、精神不安、神経症など)を来したり、自律神経への悪影響が起こります。
精神神経科医による診療、治療も大切ですが、例えば睡眠障害が高血圧を悪化させたり、頭痛の原因になったり、めまい症状を起こす大きな要因であることはあまり理解されていないようです。当院では、頭痛、めまい、痺れその他の神経症状とその誘因、原因と考えられるものを十分に問診で聞き出すことを大切に考えています。神経学的診察や脳MRIなどに何も異常がない場合、「異常ありません」「薬はありません」で終わりにせずに、それでは他に一体どういう原因が考えられるのだろうか?ということを常に考えて、患者さん自身に気付いてもらうように問診します。そして、睡眠障害(例えば日々4,5時間寝ればいいほうだ、という状態が半年も1年も続いている)による自律神経の調子の狂いが、頭痛の誘因やめまいの原因となっている可能性を探り出し、それに適応した処方薬で改善することを目指しています。具体的には、睡眠薬の処方だけではなく、軽い精神安定剤や神経症の治療薬処方、症状に合う漢方薬の処方を行い、患者さんの訴える症状が改善するかどうかを経過を追って診ています。
睡眠障害、神経症などの治療によって、頭痛やふらつき、めまい、耳鳴り、痺れが改善する患者さんを多数診ております。自分も自律神経障害による症状かもしれないと思われた方は、一度当院にご相談ください。
生活習慣病の治療管理は、脳卒中の予防や治療において必須のものです。一般内科と同じく、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロール、中性脂肪の異常)、高尿酸血症、肝臓胆嚢障害に対する薬物治療に対応します。もちろん、通常の風邪(流行性感冒)や、インフルエンザ、新型コロナウィルス感染症、その抗原検査にも対応治療します。下痢、便秘、腹痛、過活動膀胱(頻尿)などの薬物治療も行なっています。
脳以外の症状、病気についても是非ご相談下さい。
MRI検査
MRIは、簡単にいうと「磁石を使った断層撮影」です。
X線CTとの大きな違いは、「放射線」を使わないことです。ですから、検査による「放射線被爆」はありません。
磁石の中に身体が入ると、体内の水などを構成している分子や原子が磁力の影響を受け、そこに電波を当てて返って来る信号を捉えて画像化します。
安定した磁力を得るためにトンネルのような狭い空間に入る必要があり、「閉所恐怖症」の方には辛い検査となります。 閉所恐怖がない普通の人でも息苦しさや不安を感じる場合もあるでしょう。
当院で導入した最新型のオープンMRIは、トンネルの中に入らず大きな永久磁石の間に寝るだけです。 磁石の間に入っても、水平に300度近く開放的な空間が広がります。